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理崎ヒカルのブログ

慢性副鼻腔炎と「うつ」「ひきこもり」「不登校」などの関係を調査、研究しています。 今のところの仮説としては何らかの要因(口内からの病巣疾患、ウィルス・細菌の感染、アレルギー、低周波音や高周波音や電磁波、ブルーライトなどの光刺激、天気(気圧)、家庭・学校・会社などの社会的ストレス、など)の複合的な影響の結果、慢性的な副鼻腔炎や鼻炎や咽頭炎を引き起こし、その炎症性の浮腫(むくみ)や気圧差による圧力などが様々な脳神経を圧迫して多様な障害をもたらすという鼻性脳神経症候群として捉えて取り組んでいます。 (注:なお鼻性脳神経症候群という言葉は現状の概念を説明するために用いている私の造語、仮説です。)

読書感想:NHKスペシャル うつ病治療常識が変わる NHK取材班(著)

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読書感想:NHKスペシャル うつ病治療常識が変わる NHK取材班(著)

現在のうつ病治療はSSRIなどの投薬治療がメインに行われているわけですが、そうしたあり方に一石を投じる本でした。冒頭に、

P.7

本編を読み進めようという読者の皆さんに、これだけは強調しておきたい。それは、私たちは、決して抗うつ薬の効能や存在意義を否定しているわけではない、ということだ。


と、わざわざ前置きがされているのですが、その後の本文を読むとその投薬治療に決して無視できない問題があることが浮き彫りにされています。たとえば、精神科の医師の診断や治療のあり方が同じ患者であってもバラバラであったり、過剰な投薬による副作用や依存性の問題がメインに扱われています。また第三章では薬の副作用のせいでコンビニ強盗をしてしまった人なども紹介されていました(SSRIの副作用によるアクチベーション・シンドローム)。
 
医療制度的な観点では、一人あたりにあまり診察時間をかけられず投薬ばかりに傾きがちな構造が指摘されています。こうした構造は精神科に限らずありとあらゆる病院やクリニックで同じ理屈が働いているようです。
P.40

 薬が増えていく理由は、それだけでは説明できない。大きな原因として考えられているのが、診療報酬制度の仕組みである。
 現在、精神科における診療点数は、『5分以上30分以内』と『30分以上』に分けられている。再診の場合、病院はそれぞれ330点と360点、診療所では350点と360点。つまり、診療が5分で終わっても30分以上時間をかけても、国からもらえる診療報酬は、1点が10円で計算されるので300円から100円しか違わない。これでは、じっくり患者の話を聞いても経営上、まったく採算がとれない。投薬中心の診察になってしまうのも無理はない。


また精神科の話でよく登場する診断基準のDSMについても問題点が以下のように指摘されています。やや長いですが引用すると、

P.46-47

従来の診断方法では時間がかかり、医師たちは増える患者への対応に困難を極めていた。「DSM-Ⅲ」の登場で、診断のスポードは飛躍的に上がり、この方法は世界的に広まっていった。
 しかし、別掲の表(*注:DSMによるうつ病の診断基準)を見て、首をかしげる読者も多いだろう。「これだけで正しい診断ができるのだろうか?」と。
 前出の日本うつ病学会理事会長の野村さんは、DSMは治療方針を決めるにあたって、とても優れたシステムだが、その一方で「浅薄化=マニュアル化」と「大衆化=自己診断の蔓延」を招いたとして問題も多いと指摘する。

(中略)

 「この方法は、科学主義という当初のねらいとは違った、思いがけない方向をもたらした。精神医学診断の浅薄化と大衆化である。(中略)DSM-Ⅳの解説部分には「DSM-Ⅳは料理本ではない。これをみて、簡単に診断が可能だ、などと思ってはいけない」とはっきり書いてあるのも、このような使われ方を恐れたためである。しかし、誰もそのように書いている部分など読まない。それが一般大衆というものである。このような方法を提示しておいて、とってつけたように「これは慎重に使ってくださいね」といっても説得力がない。(中略)さらにまずいのは、医学生や若い医者の教育の影響である。最近の若い精神科医はDSM-Ⅳポケットブックという薄手のマニュアル本を白衣のポケットに入れて診察している。患者から症状を聴きだすと、このマニュアルを見て該当する症状数を数えて、「診断一丁あがり!」とする、という。つまり、当てはまる症状の数だけが問題なのだ。いや、これはいくらなんでも戯画化して述べてしまったが、そこまでいかなくても、診断に際してDSM-Ⅳマニュアルの定義が頭の中を駆けめぐっていることは確かだ(多くの若い研修医は勉強家であることだけは間違いない。DSM-Ⅳの項目を全部諳んじている者もいる!)(『うつ病の真実』より)
 儲け主義の「悪質・不良」な医師だけではなく、「真面目」な研修医たちがマニュアル片手に診察する。背筋が寒くなる話だ。

(中略)

『診察は”この場合はこう”といった、マニュアル的な暗記の知識では役に立たない。患者の状態を見て、推理しながら話を聞き出していく生きた力こそが必要なのに』と、歯ぎしりしていた教授の言葉と、野村さんの警告。マニュアル化は、何も精神医学だけではない。医療界、もしかしたら社会全体が抱える問題なのかもしれない。


また都市部に精神科クリニックが乱立する理由としてまとめると以下のような点が指摘されていました(P.74-78)。
1 精神科を受診する患者が激増している。
2 ただ彼らの中には街のクリニックで治らなかったり、不適切な治療でこじらせてしまった患者が大きな病院に殺到して勤務医たちに大きな負担をかけている。
3 そのため勤務医は「これだけ患者がいるなら・・・」と、いくら患者を診ても給料が上がるわけではない勤務医を辞めて、開業するというビジネスとしての需要が起きている。
4 精神科は開業にリスクが少ない。極論すると机と椅子だけあれば開業できるため大きな設備投資が必要がない。また精神疾患は医療ミスなどの因果関係の立証が難しいため裁判のリスクが他の診療科より低い。
5 医師不足のため、金儲けが目当てで、必ずしも精神科が専門でない医師までが利益目的のために開業しているケースも少なくない。

また精神科医の医師選びの注意点が5ヶ条としてまとめられていました。(個人的な経験でも当てはまるお医者さんがけっこういて鋭い指摘だと思いました)
P.91-93

①薬の処方や副作用について説明しない
②いきなり3種類以上の抗うつ薬を出す(初診、あるいは最初の処方で)
③薬がどんどん増える
④薬について質問すると不機嫌になる
⑤薬以外の対応法を知らないようだ


 さて一応、本書で紹介された過剰投薬による副作用で苦しんでいた方は薬を減らしていく減薬療法で回復の道を歩み始めたそうです。が、全ての人がそうなるわけではないとも思いますし、この本を書いているNHK取材班も決して薬の効果を否定する意図はないと思います(当然、薬が効いて良い結果につながった人もいるはずですし)。

 ただそうなると結局、投薬に代わりうるものもなかなかない、というのも確かのようです。この本で現在の精神科医や抗うつ薬の副作用や問題点は理解できたのだけれど、「では実際には何をどうしたらいいのだろうか?」と疑問がわき上がってきて、それはそのままうやむやになったまま本を閉じることになりました。
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